背禄逐馬
背禄逐馬(はいろくちょくば)は、八字(四柱推命)の格局の中でも、貧困や困難を主とする特徴的な組み合わせです。「禄」はここでは官禄、すなわち官星(正官や七殺)を指し、「馬」は財馬、すなわち財星(正財や偏財)を意味します。「背禄」とは官星が損なわれ、出世や社会的地位から遠ざかること。「逐馬」とは財星が奪われ、財運の源が失われることを指します。この格局の本質は、命式中で社会的地位を象徴する官星と、生活の基盤となる財星の両方が同時に衰退・損失する点にあります。そのため、人生において進退に迷い、官職も財運も得にくい状況に陥りやすいのです。
判定方法
この格局は命式内の「財星」と「官星」がともに損なわれていることが核心です。つまり、財・官がともに「休・囚・死・絶」といった衰退の地にあり、あるいは同時に天敵(官星が傷官に克される、財星が比肩や劫財に奪われる)によって大きく損なわれ、さらに命式内に有効な救い(救応)が存在しない場合に成立します。
具体的な現れ方は以下の通りです。
-
背禄の象(官星の損失):
- 官星失令:官星の五行が、その「死・絶」といった衰退期の月令に生じている場合。例:甲日主で官星が金の場合、春や夏(火・木が旺盛な季節)に生まれると金が衰える。
- 傷官見官:命式中で傷官が強く、虚弱な官星を直接克する場合。
-
逐馬の象(財星の損失):
- 財星失令:財星の五行が、その「死・絶」といった衰退期の月令に生じている場合。例:甲日主で財星が土の場合、春(木が旺盛な季節)に生まれると土が衰える。
- 比劫奪財:命式中に比肩や劫財が多く、虚弱な財星を直接奪う場合。
格局の意味
背禄逐馬格に該当する命式を持つ人は、一生を通じて運勢が停滞し、なかなか大きな成功を収めにくい傾向があります。「背禄」により、仕事や社会的な場面でチャンスに恵まれず、上司や権威者と衝突しやすく、出世の道も波乱が多くなります。「逐馬」により、財運も積み上げにくく、しばしば財産を失ったり、兄弟・友人・ライバルなどに足を引っ張られて財が流出しやすいのです。この格局は財と官の両方を失うため、人生の目標や支えが曖昧となり、まるで行き止まりに追い込まれたような不安と焦燥に苛まれやすく、貧困や苦労の命とされます。ただし唯一の転機は「救応」を得ることにあり、命式や大運で有力な救いとなる星が現れれば、人生に活路が開ける可能性も残されています。
格局の吉凶
この格局自体は「重病」ともいえる状態であり、吉凶のポイントは「良薬」をもって治療できるかどうかにあります。
-
吉(好ましい条件):
- 印星が官星を守る:もし「背禄」が傷官によるものであれば、強い印星が傷官を抑え、官星を守る(傷官佩印)が最良の救いとなり、厄を解消できます。
- 食傷が財星を生じる:もし「逐馬」が比肩や劫財によるものであれば、強い食神や傷官が比肩・劫財の力を和らげ、財星を生じることで困難を解消できます。
- 大運で救応が現れる:命式自体が重病で救いが弱い場合でも、大運で印星や食傷などの救いとなる星が巡れば、その期間は一時的に困難を脱することができます。
-
凶(避けるべき条件):
- 忌神が助けられる:これが最大の凶意です。大運でさらに「病」となる傷官や比肩・劫財が強まると、状況はさらに悪化し大凶となります。
- 財星・官星が冲される:もともと衰弱している財星や官星が、地支でわずかな根を持っていても、さらに歳運で冲(ちゅう)を受けると「根こそぎ抜かれる」ことになり、希望を完全に失います。
- 全局に救いがない:命式中で財星・官星がともに傷つき、印星や食傷などの救いも全くない場合は、格局として最も悪い形となり、一生浮上しにくいでしょう。
古典文献
『三命通会』
背禄者,甲以辛为官为禄,甲生春夏,金绝则无官矣,故为“背禄”。逐马者,甲以己土为财为马,被乙及亥卯未劫夺,甲无财矣,故为“逐马”。余例推。如壬子、壬子、丁未、乙巳,丁取壬为官禄,壬亥月建禄,丁生子月,癸旺是杀,壬禄已过为背,向者有禄,背者无禄;丁取庚为财为马,子月庚死,此为背禄逐马,逢杀运,行劫地,亦不发福,无根元故也。《珞琭子》云:“背禄逐马,守穷途而凄惶。”
現代語訳: いわゆる「背禄」とは、例えば甲木が辛金を官星・禄とする場合、甲木が春や夏に生まれると金が「絶」の地にあり、官星がなくなるため「背禄」と呼びます。「逐馬」とは、甲木が己土を財星・馬とする場合、乙木や亥・卯・未(木局、劫財)によって奪われると財星がなくなり、これを「逐馬」と呼びます。他の天干でも同様に推し量ることができます。たとえば、壬子・壬子・丁未・乙巳という命式では、丁火が壬水を官禄とし、壬水は亥月で建禄となりますが、丁火が子月に生まれると癸水が旺盛で七殺となり、壬水の禄の時期はすでに過ぎているので「背」となります(向きが旺地なら禄があり、背を向けていれば禄がない)。また、丁火が庚金を財星・馬としますが、子月では庚金が死地にあります。これが「背禄逐馬」です。この命式でさらに七殺の大運や劫財の地を巡ると、福を得ることはできません。根本となるものがないためです。『珞琭子』には「背禄逐馬に当たる者は、行き詰まりの道を守り、心に凄涼と不安を抱く」と記されています。
よくある質問
背禄逐馬とは何ですか?
背禄逐馬とは、四柱推命(八字)の格局の一つで、「背禄」は官星(社会的地位や出世を意味する星)が損なわれ、「逐馬」は財星(財運や生活基盤を表す星)が奪われる状態を指します。命式内で財星と官星がともに衰退、または天敵によって大きく損なわれ、救いとなる星(救応)が存在しない場合に成立します。この格局を持つ人は、人生において社会的地位や財運を得にくく、困難や迷いが多い傾向があります。
背禄逐馬格の判定方法は?
背禄逐馬格の判定方法は、命式内の財星と官星がともに「休・囚・死・絶」といった衰退の地にあるか、傷官や比肩・劫財などの天敵によって直接損なわれているかを確認することが基本です。また、印星や食傷などの救いとなる星が命式や大運に存在しない場合、背禄逐馬格が成立します。命式の五行バランスや月令、星同士の関係性を総合的に見て判定します。
なぜ背禄逐馬が四柱推命で重要なのですか?
背禄逐馬は四柱推命で重要な格局のひとつで、官星と財星が同時に衰退することで、人生の目標や基盤を失いやすい状態を示します。この格局は、運勢の停滞や苦労、貧困の傾向を強く表すため、命式の吉凶判断や改善策を検討する上で非常に重要です。特に救応となる星の有無や大運の巡りによって、人生の浮き沈みを予測する際に欠かせない知識です。
背禄逐馬の命式を改善する方法は?
背禄逐馬の命式を改善する方法としては、印星や食傷など救いとなる星が命式や大運で現れるタイミングを利用することが効果的です。例えば、傷官が官星を傷つけている場合は印星で傷官を抑え、比肩や劫財が財星を奪う場合は食神や傷官で財星の力を回復させます。吉運期には積極的に行動し、困難な時期は慎重に過ごすことで、運勢の停滞を緩和できます。
背禄逐馬格の人が避けるべき状況は?
背禄逐馬格の人が避けるべき状況は、忌神(傷官・比肩・劫財などの凶意を強める星)がさらに強まる大運や、衰弱した財星・官星が地支で冲される時期です。これらの時期に無理な投資や転職をすると、運勢がさらに悪化しやすくなります。また、命式内に救いが全くない場合は、安定した生活を心がけ、リスクを避けることが大切です。