引従包承
引従包承(いんじゅうほうしょう)は、八字(四柱推命)の格局の中でも、六十甲子の順序に基づき「前後から取り囲む」ことを主とする特別な貴格です。この格局は単一の組み合わせではなく、「引」「従」「包」「承」という四つの概念から成り立っています。命式のある中心的な柱(多くは年柱(ねんちゅう)または日柱(にっちゅう))が、他の柱によって六十甲子の配列上「前」または「後」から導かれ、守られている状態を指します。これはまるで君主が外出する際に、前後左右に儀仗隊が随行するようなもので、大きな貴運を象徴します。
判定方法
この格局は、ある中心となる柱(多くは年柱または日柱)を基準とし、他の柱の干支が「六十甲子」配列の中で、その「前」または「後」に護衛の位置にあるかどうかを見ます。
用語の解説は以下の通りです:
- 引(前引):中心柱の干支順「後」に位置する干支で、前方で導く役割を担います。古書には「引は遠きを宜しとす」とあり、中心柱から離れた位置の引神がより良いとされます。
- 従(後従):中心柱の干支順「前」に位置する干支で、後方から従う役割を持ちます。古書には「従は近きを宜しとす」とあり、中心柱のすぐ後ろの従神が最上とされます。
- 包:二つの柱が中心柱(多くは日柱)の前後に位置し、「包み込む」形を成します。例:月柱が日柱の前、時柱が日柱の後ろにある場合。
- 承:「包み込む」構造の中で、中心柱の後ろに位置し、支え・受け止める役割を持つ干支。
格局成立の要点:この格局は非常に強力で、古典には「刑害・冲破を問わず」と記されています。さらに財星・官星・禄・馬などの吉神が加われば、格局の格上げとなります。
格局の意味
引従包承格に入る命式の持ち主は、一生を通じて多くの補佐を得て、基盤が安定し、運勢も非常に強いとされます。この格局は、命主の人生が「前に導く人(引)」「後に従う人(従)」「左右から守る者(包承)」に恵まれ、万事が順調に進み、団結の力が強いことを象徴します。リーダーシップに優れ、多くの人々から支持され、事業もまるで強力な儀仗隊を従えて進むように、勢いよく発展します。特にこの格局が年柱(太歳)を守る形となれば、官運が順調で、出世や名誉に恵まれるとされます。
格局の吉凶
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吉となる要素:
- 引従が吉神であること:「儀仗」となる引・従・包・承の柱が、命主の喜用神や天乙貴人などの吉神であれば、まさに錦上添花で、非常に高い貴格となります。
- 太歳(年柱)を守る形:格局が年柱(太歳)を拱衛する場合が最も力強く、天の時を得て最大の成功をもたらします。
- 構造が完全であること:「引・従・包・承」の護衛構造が命式内で同時に成立していれば、格局は最も安定し、福徳も最大となります。
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凶となる要素:
- 引従が忌神であること:護衛となる柱の干支が命主の忌神であれば、逆に小人や悪友に囲まれ、一生そのために苦労することになります。
- 刑・冲・破・害:古典では「刑冲を忌まない」とされますが、命理の常識から見れば、中心となる日柱や年柱が重大な冲剋を受ける場合、「君主」が動揺し、護衛が多くても効果が薄くなり、格局のレベルが大きく下がります。
- 空亡:重要な引・従・包・承の柱が空亡に落ちると、護衛が形だけで実質を伴わず、見かけ倒しとなります。
古典文献
『三命通会』より
居年前曰引,年后曰从。如甲子人以前三辰为引,则丙寅、丁卯为引。以后三辰为从,则壬戌、癸亥为从。引宜远,以丁卯为远。从宜近,以癸亥为近。若甲子生人后得癸亥、前得乙丑,丙寅人后得乙丑,前得丁卯之类。
或曰:甲子人以丁卯为引,然子卯相刑,不若丙寅为食神带禄马。若得壬戌时,则丁与壬合,卯与戌合,暗中有合,则壬戌、癸亥、甲子,缺乙丑以待用。前引神有丙寅、丁卯,一甲中天地气全,前后要看纳音,有无生旺之气,兼诸贵杀助者,大贵。年月日时更在一旬中,尤妙。
引从包承拱太岁,则官历清华;刑害冲破,则一生困苦。如己酉年,癸酉月,戊申日后从,壬子时前引,引远从近,乃大贵人。居朝廷则多出入有人,盖引从动之也。丑乙人见甲子为从,或前遇庚午日乘引,乙与庚合,见己巳乘引,甲与己合,干支有情。余例推。如辛卯人遇壬辰日庚子时,此乃从远引近,不中。又壬辰日壬寅时,拱卯作丁酉正端门格,不以引从论。
《赋》云:“引从不同前后,宜乎审察。”《赋》又云:“官贵引从,位列鸳班。”或官在前,贵在后,或贵在前,官在后,或杀在前,吉在后,包承引从尤贵。如徐阶少师癸亥、壬戌、癸未、壬子,壬戌后从则近,壬子前引则远。又天干俱壬癸,一气互换,亥子为禄,乃真引从包承格也。又杨博少傅,一品十二年考满,己巳、庚午、乙卯、庚辰,庚午前引,庚辰后从,天干乙庚合化,二庚为官引从,方为奇特。若前后二支包承,本命在中。如辛亥人得庚子月戊戌日,子在前为包,戌在后为承,止为包承,亦主清贵福厚。怕空亡、冲破。如孙慎都宪乙亥、丙戌、辛丑、戊子,孟重都宪,乙亥、丁亥、乙丑、丙戌,则十二位包又多一格矣。
古歌曰:“年为天子坐中宫,日时相逢两侍从,辅弼贵星须要识,为官气势最英雄。”
現代語訳: (六十甲子の順序において)年柱の前に位置するものを「引」、年柱の後ろに位置するものを「従」と呼びます。例えば甲子年生まれの人は、その順序の前にある干支(丙寅、丁卯)が「引」となり、後ろにある干支(壬戌、癸亥)が「従」となります。「引」神は遠いほど良く(丙寅・丁卯のうち丁卯がより遠い)、「従」神は近いほど良い(壬戌・癸亥のうち癸亥がより近い)。甲子年生まれで後ろに癸亥、前に乙丑を得る場合や、丙寅年生まれで後ろに乙丑、前に丁卯を得る場合などが例です。
また別の説では、甲子年生まれは丁卯を引としますが、子卯は相刑となるため、丙寅(食神で禄馬を伴う)を引とした方が良いとされます。時柱に壬戌を得ると、丁と壬が合し、卯と戌が合し、暗合となります。こうして壬戌・癸亥・甲子の三柱が揃い、乙丑が加わればさらに良いとされます。前の引神に丙寅・丁卯があれば、天地の気が一甲子の中で全て揃い、前後の引従を見る際は納音五行に生旺の気があるかを重視し、さらに貴人や七殺(制御あり)が助ける場合は大いに貴い命となります。年・月・日・時柱が同一旬内にあれば、なお素晴らしいとされます。
引・従・包・承が年柱(太歳)を守る形となれば、官職で清廉かつ華やかな経歴を得ます。逆に刑・害・冲・破があれば、一生苦労が絶えません。例えば己酉年・癸酉月・戊申日(戊申が己酉の後ろで従)、壬子時(壬子が戊申の後ろで引)など、引が遠く従が近い場合は大貴人となります。朝廷に仕えれば多くの人に助けられるのは、引従が働いているためです。丑年生まれの乙日主が甲子を従とし、前に庚午日(乙と庚が合)、己巳日(甲と己が合)を得る場合も同様です。その他の天干も同様に推察します。辛卯年生まれで壬辰日・庚子時の場合は、従が遠く引が近いため格に入らず、壬辰日・壬寅時で寅辰が卯を挟む場合は「丁酉正端門格」となり、引従格とは見なしません。
『賦』には「引従は前後の位置によって異なり、よく観察すべし」とあり、また「官星と貴人が引従を成せば、朝廷の高官に列せられる」と記されています。官星が前で貴人が後、またはその逆、七殺が前で吉神が後など、包承引従の格局は特に高貴です。例えば徐階少師の命式:癸亥・壬戌・癸未・壬子。日柱癸未を中心に、壬戌(月柱)が後ろで従(近い)、壬子(時柱)が前で引(遠い)。天干が全て壬癸水で一気に循環し、地支亥子が禄となり、真の引従包承格となります。楊博少傅の命式:己巳・庚午・乙卯・庚辰。庚午(月柱)が前で引、庚辰(時柱)が後ろで従。天干乙庚が合化し、二つの庚金官星が引従を構成し、特異な格となります。
前後の二支が「包承」を成し、本命(日柱)が中央にある場合もあります。例えば辛亥年生まれで庚子月・戊戌日を得る場合、子(月支)が戌(日支)の前で包、戌が後で承となり、これを「包承」とし、清貴で福厚とされます。ただし空亡や冲破を恐れます。例えば孫慎都憲の命式:乙亥・丙戌・辛丑・戊子、孟重都憲の命式:乙亥・丁亥・乙丑・丙戌などは、十二支が全て揃う「包」格で、さらに格局が増えます。
古歌には「年柱は天子が中宮に座す如し、日柱・時柱は両脇に侍従する如し。これらの補佐となる貴星を識るべし。格に入れば官運は最も英雄的となる」と詠われています。
よくある質問
引従包承とは何ですか?
引従包承(いんじゅうほうしょう)とは、八字(四柱推命)の格局の一つで、六十甲子の順序に基づき、年柱や日柱などの中心的な柱が他の柱によって前後から取り囲まれて守られる特別な貴格です。「引」「従」「包」「承」という四つの概念が組み合わさり、命主が強力なサポートを受け、人生や事業が順調に発展することを象徴します。引従包承格に入る命式は、リーダーシップや団結力に恵まれ、大きな成功運を持つとされています。
引従包承格を判定する方法は?
引従包承格を判定するには、まず四柱(年柱・月柱・日柱・時柱)の干支を六十甲子の配列で確認し、中心となる柱(多くは年柱または日柱)の前後に「引(前方)」「従(後方)」が正しく配置されているかを見ます。また、「包(左右から包み込む)」や「承(後方で支える)」が成立しているかも重要です。さらに、これらの護衛となる柱が命主にとって吉神であるか、空亡や重大な冲破がないかもチェックします。
なぜ引従包承格が八字で重要なのですか?
引従包承格が八字で重要とされる理由は、この格局に入る命式の持ち主が、人生を通じて多くの支援や補佐に恵まれ、安定した基盤と強い運勢を持つからです。特に官運や出世、名誉に強い影響を与え、事業の発展や団結力を高めます。さらに、吉神が加わることで貴格が格上げされ、より大きな成功や福徳を得るとされています。
引従包承格で吉運を高めるためのポイントは?
引従包承格で吉運を最大限に高めるには、引・従・包・承の柱が命主の喜用神や天乙貴人などの吉神であることが重要です。また、年柱(太歳)を守る構造が成立していれば、官運や社会的成功に強い効果があります。護衛構造が完全で、空亡や重大な冲破がなければ、格局の安定と福徳が最大化されます。命式全体のバランスにも注意しましょう。
引従包承格の凶意や注意点は何ですか?
引従包承格でも、引・従・包・承の柱が忌神となる場合や、重要な柱が空亡に落ちている場合、または中心となる日柱や年柱が重大な刑・冲・破・害を受けている場合は注意が必要です。このような場合、せっかくの護衛構造が形だけとなり、実質的な効果が弱まります。結果として、支援者がいても苦労が多くなったり、運勢が不安定になることがあります。