六壬趨艮
六壬趨艮(ろくじんきょごん)は、八字(四柱推命)における特別な格局の一つであり、貴格(きかく)と称されます。「六壬」とは壬子・壬寅・壬辰・壬午・壬申・壬戌の六つの壬水日を指し、「趨艮」は時刻が「艮」宮、すなわち地支の「寅」時にあたることを意味します。この格局の核心は、時支「寅」の木である食神(しょくじん)を枢軸とし、密かに日主の禄位(亥)を引き寄せ、さらに官星(正官)や印星(正印)を動かし、さまざまな吉を一身に集める点にあります。そのため、富貴をもたらす格局とされています。『相心賦』には「六壬趨艮、智足多仁」と記されています。
判定方法
この格局は、六壬日が寅時に生まれ、四柱に財星・官星(火・土)や衝刑(申)が現れないことが条件です。特に壬寅日・壬辰日が最も正格とされます。
解説は以下の通りです:
- 日時の限定:必ず六壬日で、かつ寅時(すなわち壬寅時)に生まれていること。中でも壬寅日・壬辰日は日主が自ら強根に座し、格局が最も純粋となります。
- 禄の「填実」を避ける:四柱の地支に亥が現れてはなりません。亥は壬の禄であり、この格局は「暗合(あんごう)」が貴ばれます。禄神が明らかになると「填実(てんじつ)」となり、格局が壊れます。古書には「亥月に逢えば必ず貧」とあります。
- 用神を傷つけない:地支に申金が現れるのは避けます。寅と申は相冲し、格局の要である寅木を直接破壊します。
- 格局の清純さ:天干に戊・己の官殺(かんさつ)が現れるのは好ましくありません。官殺が現れると格が壊れ、命局が不明瞭となり、かえって貧賤を招きます。
- 食神を損なわない:天干に庚金が現れるのも避けます。庚金は枭神(きょうしん)であり、寅中の甲木食神を剋し、格局の秀気の源を損ないます。
格局の意義
六壬趨艮格に入る命は、知恵に優れ、仁愛に富み、才能豊かな人物とされます。格局の理論から見ると、これは極めて優れた「食神洩秀(しょくじんえいしゅう)」の格であり、「水木清華(すいもくせいか)」の象を成します。すなわち、命主が内在する知恵(壬水)を、才能や創造力(寅木)によって見事に発揮できることを意味し、名声が広まり、芸術的才能も際立ちます。古典では、この格の「寅」は単なる食神にとどまらず、密かに「亥」の禄を引き寄せ、さらに官星(寅中の甲が己官と合)や印星(寅中の丙が辛印と合)を動かし、禄・官・印の三奇を一身に集めるとされ、福徳が深く、非常に貴いと評されます。この格の人物は、多くが人々から敬愛される学者・芸術家、または清廉な官吏であり、長寿かつ多福です。ただし、格局は寅木への依存度が高く、寅木が損なわれたり、日主が弱すぎる場合は格が壊れ、才能が枯渇し、体が弱く病気がちになる傾向があります。
格局の喜忌
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喜(よい点):
- 日主が強旺であること:この格は日主に強根(たとえば子・辰に座す)があるか、金・水の助けを得ることを最も喜びます。身が強いことで食神の洩秀を受け止め、才能を福禄に転化できます。
- 木火通明(もくかつうめい):日主が非常に強い場合、大運で南方の火運を巡るのが吉です。食神が財を生む流通局を形成し、才能が大きな富と名声をもたらします。
- 格局の純粋さ:命局に亥・申・戊・己・庚などの破格となる字が全く現れないことが、格局の高さを決定します。
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忌(避けるべき点):
- 亥の「填実」:これが格局最大の忌みです。命局や大運で「亥」が現れると、暗禄が明禄となり、格が壊れて福分が大きく減少します。
- 申が寅木を冲する:命局や大運で「申」が「寅」を冲すると、格局の根本を直接破壊し、事業の失敗や人生の波乱を招きます。
- 官殺の混局:命局や大運で「戊」「己」の土が現れると、格が壊れるだけでなく、「食神見官殺(しょくじんけんかんさつ)」となり、口論や災難を招きます。
- 庚金の枭印(きょういん):命局や大運で「庚」金が現れると、寅中の甲木を剋し、「枭神奪食(きょうしんだっしょく)」となって才能が阻害され、心が塞がり、福分も損なわれます。
古典原文
『三命通会』
此格乃六壬日見甲寅時,合出亥中壬禄,即暗禄格。経云:「明禄不如暗禄」はこれなり。忌亥字填実,怕冲刑克破。壬寅、壬辰二日為正,見寅字多者大富,以寅中甲木食神生丙火長生之財,財旺生官,故美。忌官殺損身,申庚傷甲,不能生財,為凶。又曰:「壬日多見寅字,用寅中甲木暗邀己土為壬官星,寅中丙火暗邀辛金為壬印綬,怕午合申冲,忌財官填実,喜身旺地。歳運同。」『相心賦』云:「六壬趨艮,智足多仁。」『真宝賦』云:「六壬趨艮,透財印為奇。官殺来侵,反為貧窮下賤。」
詩曰:「六壬趨艮喜非常,壬日寅時是貴郷。大怕刑冲並克制,逢甲歳運有災殃。」
解説: この格局は六つの壬日が甲寅時に当たる場合(注:壬日寅時の天干は本来壬ですが、ここでの甲寅は寅時の食神の象徴として用いられています)、寅によって亥中に隠れる壬水の禄神を引き出し、すなわち暗禄格となります。経典に「明禄より暗禄が良い」とあるのはこの理です。亥が直接現れて填実となるのを忌み、また冲・刑・剋・破も避けるべきです。中でも壬寅日・壬辰日が正格で、寅が多いほど大富を得ます。これは寅中の甲木食神が丙火(壬の財)を生じ、丙火は寅で長生となり、財が旺じて官を生むためです。官殺が日主を損なうのを忌み、申金や庚金が寅中の甲木を傷つけて財を生じられなくなるのも凶です。また、「壬日で寅が多い場合、寅中の甲木で密かに己土を招き壬の官星とし、寅中の丙火で辛金を招き壬の印綬とする。午が合し申が冲するのを恐れ、財官が填実となるのを忌み、身旺の大運を喜ぶ。歳運も同様」とも言われます。『相心賦』には「六壬趨艮格に入る者は、知恵が充実し仁愛に富む」とあり、『真宝賦』には「六壬趨艮格で天干に財星・印星が現れれば奇格。官殺が侵入すれば、かえって貧しく下賤の命となる」と記されています。
詩には「六壬趨艮格は非常に喜ばしい。壬日が寅時に生まれれば貴人の郷に至る。最も恐れるのは刑・冲や剋制であり、歳運で甲木(食神過旺)に遭うと災いがある」と詠まれています。
よくある質問
六壬趨艮とは何ですか?
六壬趨艮(ろくじんきょごん)とは、八字(四柱推命)における特別な格局の一つです。六壬日(壬子・壬寅・壬辰・壬午・壬申・壬戌)に寅時生まれが条件で、食神(寅木)が日主の禄位(亥)を密かに引き寄せ、さらに官星や印星を動かすことで富貴をもたらす格局です。この命式の持ち主は知恵や仁愛、芸術的才能に恵まれるとされ、古典でも高く評価されています。
六壬趨艮格の判定方法は?
六壬趨艮格の判定方法は、まず命式の日柱が六壬日(壬子・壬寅・壬辰・壬午・壬申・壬戌)であり、かつ寅時生まれであることが必須です。さらに、命式に財星・官星(火・土)や申金の衝刑、亥の填実が現れないことが条件となります。特に壬寅日・壬辰日は最も純粋な正格とされ、これらの条件が揃うことで六壬趨艮格が成立します。
なぜ六壬趨艮格が貴格とされるのですか?
六壬趨艮格が貴格とされる理由は、食神(寅木)が日主の禄位(亥)を密かに引き寄せ、官星や印星も活発に作用するため、知恵・才能・福徳・名声・芸術的素養が一身に集まるからです。古典では「智足多仁」と評され、命主は学者や芸術家、清廉な官吏など、多福かつ長寿とされます。格局が純粋であれば、人生において大きな成功や尊敬を得る可能性が高いです。
六壬趨艮格で避けるべき忌神や破格の要素は?
六壬趨艮格で避けるべき忌神や破格の要素は、地支の亥(填実)、申金(寅木への冲)、天干の戊・己(土の官殺)、庚金(枭神)です。これらが命式や大運に現れると、食神や格局が損なわれ、才能や福分が減少したり、事業や健康に悪影響を及ぼす可能性が高まります。格局の純粋さを保つことが、六壬趨艮格の最大のポイントです。
六壬趨艮格を持つ人の特徴や適職は?
六壬趨艮格を持つ人の特徴は、知恵に優れ、仁愛に富み、芸術的才能が際立つことです。命式が純粋で格局が壊れていなければ、学者・芸術家・清廉な官吏など、知性や創造力を活かした職業で成功しやすく、人々から尊敬されます。また、長寿で福徳に恵まれる傾向があります。ただし、寅木が損なわれたり日主が弱い場合は、健康面や才能面で注意が必要です。