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第46卦 地風升(ちふうしょう)

地風升(ちふうしょう)は、『易経』六十四卦の第四十六卦であり、上が坤(こん)、下が巽(そん)の組み合わせで、雑卦に属します。上昇、昇進、昇騰、時勢に乗って進むことを象徴し、地中から木が生え、樹木が徐々に成長し、柔らかく順応して上昇する姿を表します。核心となる教えは、「地中生木、升、君子以順徳、積小以高大」(地中より木を生ず、升る。君子以て徳に順い、小を積みて以て高大ならしむ)です。これは、時勢に乗って上昇し、小さな積み重ねで大きな成果を成し、柔順に漸進し、徳によって昇進することを主とし、上吉の卦です。順序を追って進み、徳を積み重ねて昇進し、柔らかく順応して昇る法則を明らかにしています。

卦象と卦辞​

卦象​

地風升
第46卦 · 上坤下巽 · 地中生木
上卦:坤 ☷下卦:巽 ☴五行:土木(坤は土に属し、巽は木に属す)

地風升が示す道を象徴します。

卦辞​

升:元亨、用見大人、勿恤、南征吉。

意味: 升卦は上昇を象徴し、大いに通じる。大人(立派な人)に会うのに適し、憂える必要はなく、南へ征伐すれば吉祥である。昇進の時は順調に通じ、時に順じて南へ向かい、貴人の助けを得れば吉であることを意味する。

爻辞​

  • 初六: 允升、大吉。

    允升、大吉。
    意味: 誠実に合宜に上昇すれば、大いに吉祥である。上昇の初め、大勢に順応し、誠実に進めば大吉。

  • 九二: 孚乃利用禴、無咎。

    孚乃利用禴、無咎。
    意味: 誠意を持っていれば、たとえ薄い祭祀でも神霊に通じ、咎はない。誠信をもって身を立て、昇進に道がある。

  • 九三: 升虚邑。

    升虚邑。
    意味: 上昇して空虚な城邑に入る。一路、障害なく通じる。剛健で位を得、昇進は順調で、阻む者はいない。

  • 六四: 王用亨于岐山、吉、無咎。

    王用亨于岐山、吉、無咎。
    意味: 王が岐山で祭祀を行う。吉祥で咎はない。柔順で位を得、天に順って祭祀を行い、昇進は道義に合う。

  • 六五: 貞吉、升階。

    貞吉、升階。
    意味: 正しく守れば吉祥で、階段を一歩ずつ上昇する。尊い位にありながら柔順で、正道を守って着実に昇進し、一歩一歩高みへ登る。

  • 上六: 冥升、利於不息之貞。

    冥升、利於不息之貞。
    意味: 暗闇の中にあってもなお上昇を求める。絶え間なく正道を守り続けることが有利である。昇りきって極まれば、妄りに動かず、恒久に正道を守れば安泰である。

核心象義​

升卦は、上が坤で地・順、下が巽で木・入を表します。樹木が地中から生え、次第に成長して上へ伸び、時勢に乗って上昇する姿は、事業の昇進、徳業の日々の進歩、小さな積み重ねで大きな成果を成し、柔順に昇ることを象徴します。人事においては、官途での昇進、学業の向上、徳を積んで事業を立てる、時勢に乗った発展などに対応し、順序を追って進み、柔順に正道を守り、小さなものを積み重ねて高大にすることを主とします。盲目的な突進や、頑なに無理に昇ろうとすることには危険があると警告しています。

升卦の六爻は昇進の道を中心に展開します。初六は誠信をもって上昇し大吉、九二は誠信をもって祭祀し無咎、九三は順調に城邑に入り障害なく、六四は王が岐山で祭祀し吉で無咎、六五は正道を守って昇進し階段を登る、上六は暗闇の中で上昇し恒久に正道を守ることを宜しとします。全体の核心は、地中生木、柔順上升、積小高大(地中より木を生じ、柔らかく順応して昇り、小を積みて高大ならしむ)です。

万物類象​

  • 卦性: 雑卦、上順下入、地中生木、時勢に乗って昇進
  • 五行: 土木(坤は土に属し、巽は木に属す)
  • 方位: 西南と東南
  • 時序: 春、木が地に生え、上へ成長する時
  • 人物: 昇進する士、徳を積む君子、時勢に乗って進む者
  • 身体: 脾胃、肝胆、毛髪。生気の上昇、気血の昇騰を主る
  • 動物: 鶏、牛、山林の鳥
  • 器物: 昇階の具、祭祀の礼器
  • 場所: 山林、高地、岐山、朝廷
  • 人事: 官途の昇進、学業の向上、徳を積み事業を立てる、時勢に乗って上昇する
  • 色彩: 黄、青、緑
  • 五味: 甘、酸
  • 数目: 四、五、八

古籍原文​

卦辞爻辞​

地風升: 升:元亨、用見大人、勿恤、南征吉。
初六: 允升、大吉。
九二: 孚乃利用禴、無咎。
九三: 升虚邑。
六四: 王用亨于岐山、吉、無咎。
六五: 貞吉、升階。
上六: 冥升、利於不息之貞。

彖伝​

《彖》曰:柔以時升、巽而順、剛中而応、是以大亨。用見大人勿恤、有慶也。南征吉、志行也。

意味: 陰柔が時に従って昇り、謙遜で柔順、剛健が中位にあり応じる。これにより大いに通じる。大人に会って憂えぬは、吉慶があるからである。南征が吉なのは、志が行われるからである。

象伝​

《象》曰:地中生木、升。君子以順徳、積小以高大。

意味: 地中より木を生ず、これ升(のぼ)るなり。君子以て徳に順い、小を積みて以て高大ならしむ。

《象》曰:

  • 允升大吉、上合志也。
  • 九二之孚、有喜也。
  • 升虚邑、無所疑也。
  • 王用亨于岐山、順事也。
  • 貞吉升階、大得志也。
  • 冥升在上、消不富也。

意味:
誠信をもって昇り大吉なのは、上位の志と合うからである。
九二の誠信は、喜びがあるからである。
空虚な城邑に昇るのは、疑うところなく、順調に前進するからである。
王が岐山で祭祀を行うのは、事理に順うからである。
正道を守り吉祥で階段を昇るのは、大志が伸びるからである。
暗闇の中で昇るのは、消損して満たされないからである。

よくある質問​

升卦は主に吉か凶か?​

答:升卦は上吉の卦です。時勢に乗って昇進し、徳を積み正道を守り、順序を追って進めば吉です。頑なに無理に昇ろうとしたり、焦って突進したりすれば危険があります。

升卦の「積小以高大」とはどういう意味か?​

答:小さな善行と徳行を積み重ね、徐々に高大な功業を成し遂げることです。これが昇進の根本的な道です。

升卦はどのような場面に適しているか?​

答:官途での昇進、学業の向上、事業の発展、徳を積んで事業を立てるなどの昇進の場面に適しています。盲目的な突進や、貪って昇り続けることには適していません。

升卦を占って事業や学業を問う場合、どのような啓示があるか?​

答:着実に上昇し、小さな積み重ねで大きな成果を成すことが望ましいです。六五の「升階」が最も吉であり、初六の「允升」も大吉です。上六は暗闇での昇進を戒め、妄りに進むことを忌みます。

升卦と萃卦はどのような関係にあるか?​

答:萃卦は衆を集めて相集い、勢いを集めて力を蓄えることを主とします。升卦は時勢に乗って上昇し、昇進・発展することを主とします。両者は互いに綜卦(反対の卦)の関係にあり、先に集まり、後に昇り、集まってこそ昇ることができるのです。