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sidebar_position: 29 hide_table_of_contents: false hide_title: true slug: /iching/29-kan-wei-shui sidebar_label: 坎為水 (かんいすい) title: 第29卦 坎為水(かんいすい)の詳解 description: 坎為水(かんいすい)は、『易経』六十四卦の第29番目の卦です。本記事は坎為水の卦象、卦辞、爻辞、核心象義、万物類象、古籍原文とよくある質問を整理しました。 keywords:

  • 易経
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  • 坎為水
  • 坎為水 詳解
  • 周易

第29卦 坎為水 (かんいすい)

坎為水(かんいすい)は、『易経』六十四卦の第29番目の卦であり、上も下も坎で構成される純卦です。それは険難が重なり合い、水の流れが止まず、難事や危険が多い様子を象徴します。両方の坎が積み重なり、水が次々に至ることで、危険と困難が重なっている象となります。その核心的な教えは、 「水が次々に至る(これを習坎という)。君子はこれを見て、常に徳行を維持し、教えを習って事に臨む」 というものです。この卦は、危機にあっても驚かず、誠実さをもって難事を実行し、平素から正しい行いと教養を養い、危機を乗り越えることを主とします。吉凶は中位で穏やかな卦とされ、危険が重なった状態で不変の徳によって困難を乗り切り、危険を冒しても誠実さを失わない法則を示しています。

卦象と卦辞​

卦象​

坎為水
第29卦 · 上坎下坎 · 水洊至
上卦:坎 ☵下卦:坎 ☵五行:水水(坎の属性は水)

坎為水の示す道理を象徴するものです。

卦辞​

習坎:有孚維心,亨。行有尚。

意味: 習坎は、重なった険難を象徴し、心中に誠意を持つことで、事はうまく通じ、行動は尊敬されます。深い危険の中にあっては、誠意のみが心を支え、危険を乗り越えて成功させることができる、という寓意があります。

爻辞​

  • 初六: 習坎,入于坎窞,凶。

    習坎,入于坎窞,凶。 意味: 危難が重なり、深い穴の最底辺に落ちてしまい、凶とされます。危険の最初の段階でその深さを理解せず、無闇に深入りすることは、絶体絶命の状況に陥ることを象徴しています。

  • 九二: 坎有險,求小得。

    坎有險,求小得。 意味: 坎の中には危険があるため、大きな成果を求めず、小さな得られるものだけを求めることとされます。危険な状況にいる時は、大望を持ち進もうとするよりも、中正を保ち小さな安定を求めることで、一時の安寧を得られるという寓意です。

  • 六三: 来之坎坎,险且枕,入于坎窞,勿用。

    来之坎坎,险且枕,入于坎窞,勿用。 意味: 進むにしても退くにしても険があり、危険が頭近くで連なるような状況で深穴に落ちてしまうため、行動すべきでないとされます。進む道も退く道もなく、危険に深くはまり込んでしまった状態では、静かに待機するしかないことを象徴しています。

  • 六四: 樽酒簋贰,用缶,纳约自牖,终无咎。

    樽酒簋贰,用缶,纳约自牖,终无咎。 意味: 杯一杯の酒と皿二枚の食物を、素焼きのつぼに入れ、窓から簡素に差し入れることで、結局は災いは訪れないとされます。困難な時にこそ、簡素で誠実な態度で人に接し、派手さを求めず、誠意によって危機を和らげるという寓意です。

  • 九五: 坎不盈,祗既平,無咎。

    坎不盈,祗既平,无咎。 意味: 坎の水は満ちず、ようやく平らになる程度でとどまり、災いは訪れないとされます。高い地位にある者が危険の中にあっても、剛健さを保ち中庸を守り、傲慢にならず、危難が次第に落ち着いていくことを象徴します。

  • 上六: 系用徽纆,置于丛棘,三岁不得,凶。

    系用徽纆,置于丛棘,三岁不得,凶。 意味: 縄で縛られ、茨の中に置かれ、三年間逃れることができず、凶とされます。困難の極みに至り、迷いから脱せず、深く束縛されたまま長期の苦難から解放されないことを寓意します。

核心象義​

坎の卦は上下ともに水で、危険と困難が重なり、水は流れ続けて溺れはしないものです。これは、君子が幾重もの危険な状況にあっても誠意と德行を持ち続け、困難の中で物事の処理を習得し、着実に危険を乗り越えていくことを象徴します。人生における様々な困難、重なる危機、心性の試練、危険を伴う行動などに対応し、心を誠実に守り、危険を冒す時は節度を持ち、日常の道を習って混乱しないことを主とします。危険に深くはまれば凶となる一方、中正を守り正道を求めれば安泰となると警告しています。

坎卦の六本の爻は、「危険をどのように処するか」というテーマに沿って展開されます。初六は深く危難にはまり、穴に入って凶。九二は険の中で小さきを求め、一時の安寧を得る。六三は進退ともに険しく、深くはまって動くな。六四は簡素誠実によって、誠意で危難を和らげる。九五は危険が満ち溢れず、平らになり災い無し。上六は縛られて危険にはまり、長期に渡って苦しむという凶です。全体の核心は、 「心中に誠意を抱き、危難を実行しながらも常道を守り、危機を安泰に変える」 ということです。

万物類象​

  • 卦の性格: 純卦、重なる険難、止まぬ水流、重なる陥穽
  • 五行: 水水
  • 方位: 北方
  • 季節・時期: 仲冬(厳冬の盛り)。水の気が極まり、最も険しく寒い時期。
  • 人物: 危険に関わる人、信義を守る君子、法律を執行する者、舟旅をする者
  • 身体: 腎臓、血液、耳。血行を司り、水のエネルギーが盛んで、心神が落ち着かない
  • 動物: 豬、水生の獣、隠れたるもの
  • 器物: 酒器、つぼ(缶)、縄、舟船
  • 場所: 深淵、川・海、牢獄、危険な場所
  • 人の事柄: 重なった困難、危険を伴う行動、德行の試練、牢獄の災い
  • 色彩: 黒、黒色
  • 五つの味: 塩辛い
  • 数: 一、六

古籍原文​

卦辞爻辞​

習坎: 有孚維心,亨。行有尚。 初六: 習坎,入于坎窞,凶。 九二: 坎有險,求小得。 六三: 来之坎坎,险且枕,入于坎窞,勿用。 六四: 樽酒簋贰,用缶,纳约自牖,终无咎。 九五: 坎不盈,祗既平,无咎。 上六: 系用徽纆,置于丛棘,三岁不得,凶。

彖传​

《彖》曰:习坎,重险也。水流而不盈,行险而不失其信。维心亨,乃以刚中也。行有尚,往有功也。天险不可升也,地险山川丘陵也,王公设险以守其国,险之时用大矣哉。

解説: 「習坎」とは、二重の危険である。水は流れ続けるが満ちあふれず、危険の中を行くも誠実さを失わない。内心が通じるのは、剛健なものが中(九二・九五)にあるからである。行動が称賛されるのは、進むことで功績が立てられるからである。天の険は高くて登ることができず、地の険は山、川、丘陵として現れる。王侯公卿は自国を守るため防壁や天険を設ける。険には時に応じて大きな用い方が有るのだ。

象传​

《象》曰:水洊至,習坎。君子以常德行,習教事。

解説: 水が続け様に至るのが習坎の象であり、君子はこれを見習って、恒常的に德行を保ち、教える事柄を習熟する。

《象》曰:

  • 習坎入坎,失道凶也。
  • 求小得,未出中也。
  • 来之坎坎,終無功也。
  • 樽酒簋贰,刚柔际也。
  • 坎不盈,中未大也。
  • 上六失道,凶三岁也。

解説: 重なる険難にはまり込むとは、正道を失って凶に至るということ。 小さなものを求めて得るとは、中道を外れていないということ。 進むにしても退くにしても険であることでは、結局功績は無い。 質素な品物と誠意によって、剛と柔の出会う局面にあるということ。 坎の水が満ちないとは、中庸で驕り高ぶっていないということ。 上六の爻が正道を失うとは、三年の間の凶ということ。

よくある質問​

坎卦は主に吉と見るか、凶と見るか?​

答え: 坎卦は中位の、穏やかな卦とされます。困難が重なる状態において、心に誠実さを保ち、危険を冒す時も正道を守れば吉と解し、深く迷いの険の中に入り、正道を失いやたらに動けば凶と解します。

坎卦の「有孚維心」とはどういう意味ですか?​

答え: 心中に誠実さを持ち、その誠意によって心の志向を支えることで、それが危険を乗り越える核心となります。心を誠実に保つことによってのみ、危険を実行しながら物事を成功させることができるという意味です。

坎卦はどのような場面に合うでしょうか?​

答え: 苦境に立たされている時、危険を伴う行動を取る時、自分の徳が試されている時、心を静かに保って時機を待つ時など、困難で危機的な場面に合います。無計画な行動、深い危険への深入り、功を焦ってやたらに動くような場面には合いません。

事業の危機について坎卦を引いた場合、どのような示唆がありますか?​

答え: 事業が重なる危難に直面している状態です。誠実さを保ち、落ち着いて小さな成果を求めることが適切です。九五の爻のように危険が満ち足らず平穏になっていくのが最善であり、六四の爻のように誠実さによって危険を和らげることを目指します。初六や上六の爻のように、深くはまったり縛られたりするのは避けるべきです。

坎卦と離卦はどう違いますか?​

答え: 坎は水であり、重なる危険を主とし、危険を処するのに誠実さを守ることを説きます。離は火であり、光明を主とし、明るい徳に従うことを説きます。この二卦は互いに錯卦(鏡合わせのような卦象の関係)であり、一陰一陽、一方が危険、もう一方が光明という性質があります。