sidebar_position: 12 hide_table_of_contents: false hide_title: true slug: /iching/12-tian-di-pi sidebar_label: 天地否(へい) title: 第12卦 天地否(へい)の詳細解説 description: 天地否(へい)は『易経』六十四卦の第十二卦であり、上卦が乾(けん)、下卦が坤(こん)で構成され、閉塞、阻隔、正道を守って時機を待つことを象徴します。本記事では否卦の卦象、卦辞、爻辞、核心的な象義、万物類象、古籍原文、そしてよくある質問を整理しています。 keywords:
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第12卦 天地否(へい)
天地否(へい)は、『易経』六十四卦の第十二卦であり、上卦が乾(けん)、下卦が坤(こん)で構成される雑卦に属し、閉塞、阻隔、不通、離反を象徴します。これは天地の気が交わらず、陰陽が隔絶された象です。核心となる要義は、「天地交わらず、否(へい)なり。君子はもって徳を倹(つつ)しみ難を辟(さ)け、もって禄を栄(え)にするべからず」 であり、主に閉塞、阻害、静寂を守り、災難を避けることを示します。中平の卦であり、陰陽が通じず、上下が離反し、万事が行き詰まる法則を明らかにすると同時に、否(へい)極まりて泰(たい)に至り、正道を守って変化を待つことを戒めています。
卦象と卦辞
卦象
閉塞、阻隔、不通、離反を象徴します。
卦辞
否:否之匪人,不利君子貞,大往小来。
意味: 否卦は閉塞不通を象徴し、人道に背いた常態です。君子が正道を固守して行動するには不利であり、陽剛の気は遠ざかり、陰柔の気が到来します。万事が行き詰まり、消耗が得るものを上回ります。
爻辞
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初六: 拔茅茹,以其汇,貞吉,亨。
拔茅茹,以其汇,貞吉,亨。
意味: 茅を抜くと根が連なり、同類が引き合います。正道を守れば吉祥を得て、物事が順調に進みます。閉塞の初期には、志を同じくする者と団結し、心を合わせて正道を守ることで、阻害の時期を無事に乗り越えられるという寓意です。 -
六二: 包承,小人吉,大人否,亨。
包承,小人吉,大人否,亨。
意味: 上位者を包容し順承すれば、小人は吉祥を得られますが、大人(君子)は閉塞の状態を固守するのが良く、かえって物事が順調に進みます。小人は時勢に乗り、上に媚びれば利益を得られるが、君子は忍耐して静寂を守り、安易に進取を求めてはならないという戒めです。 -
六三: 包羞。
包羞。
意味: 恥辱を心に抱きながらも包容して耐え忍び、辱めを負って人と争いません。閉塞困頓の中に身を置く時は、辱めを忍び、拙を守り、一時の意気を張らず、鋭気を避けるべきだという寓意です。 -
九四: 有命无咎,畴离祉。
有命无咎,畴离祉。
意味: 天命を奉じて行動すれば災いはなく、同類が互いに寄り添い、福沢を共にします。閉塞の勢いが緩み始め、時勢の変化に順応し、他者と団結すれば、福佑を得て困境から脱することができるという象徴です。 -
九五: 休否,大人吉。其亡其亡,系于苞桑。
休否,大人吉。其亡其亡,系于苞桑。
意味: 閉塞の状態を止めれば、大人(君子)は吉祥を得ます。「滅びるかもしれない、滅びるかもしれない」と常に警戒すれば、叢生する桑の木に結ばれたように安定することができます。安泰にありながら危険を考え、剛健中正の力で閉塞を止めて通達を興し、危機の中に安泰を求めるという寓意です。 -
上九: 倾否,先否后喜。
倾否,先否后喜。
意味: 閉塞の局面を覆せば、初めは困頓閉塞であっても、最終的には喜びと通泰を迎えます。否(へい)極まりて泰(たい)に至り、閉塞が極まれば必ず通泰に転じ、苦しみが尽きれば甘きが来て、万事が順調に転じることを象徴します。
核心的な象義
否卦は、上卦の乾が天・剛を表し、下卦の坤が地・柔を表します。天は上にあり地は下にあるため、陰陽二気が互いに交わらず、閉塞不通、上下の心が離れ、万事が阻害されることを象徴します。人事においては、事業の行き詰まり、人間関係の隔たり、時運の不遇、内外の阻害に対応し、静寂を守って災難を避け、忍耐して時機を待ち、正道を固守することを主とします。同時に、否極泰来、閉塞が極まれば必ず通泰に転じることを指し示しています。
否卦の六爻は、閉塞から通達への転換過程を展開しています。初六は結束して正道を守り安定吉祥、六二は忍耐して順承し小人が利益を得、六三は辱めを忍び鋭気を避け、九四は天命を承けて勢いを転じ福沢を共有し、九五は閉塞を止めて吉祥を興し危機の中に安泰を求め、上九は閉塞を破って覆し、先に否(へい)あり後に喜びありとなります。全体の核心は、正道を守り災難を避け、静かに泰(たい)の到来を待つことにあります。
万物類象
- 卦性: 雑卦、上剛下柔、天地不交
- 五行: 金土(乾は金に属し、坤は土に属す)
- 方位: 北西、南西(天地が離反する方位)
- 時序: 秋冬の境、万物が寂れる時期
- 人物: 小人、閉塞した人、隔たりのある者、隠居者、正道を守る君子
- 身体: 肺、脾胃、気血不通。気滞、阻塞、心神不舒を主る
- 動物: 単独行動の獣、孤禽、群居を好まない家畜
- 器物: 阻隔する物、閉塞した器具、破損した礼器
- 場所: 高壁の内側、閉塞した所、荒野、朝廷内の隔たりのある場所
- 人事: 人間関係の隔たり、事業の阻害、時運の不遇、忍耐して災難を避ける、上下の心が離れる
- 色彩: 白、黄、暗色
- 五味: 辛(からい)、甘(あまい)
- 数目: 一、八、九
古籍原文
卦辞爻辞
否: 否之匪人,不利君子貞,大往小来。
初六: 拔茅茹,以其汇,貞吉,亨。
六二: 包承,小人吉,大人否,亨。
六三: 包羞。
九四: 有命无咎,畴离祉。
九五: 休否,大人吉。其亡其亡,系于苞桑。
上九: 倾否,先否后喜。
彖传
《彖》曰:否之匪人,不利君子貞,大往小来。則是天地不交而万物不通也,上下不交而天下无邦也。内阴而外阳,内柔而外刚,内小人而外君子,小人道长,君子道消也。
意味: 否卦は人道の常理に背き、君子が正道を守るには不利であり、陽剛が遠ざかり陰柔が到来します。これは天地の気が互いに交わらないため万物の生気が通じず、君臣上下が心を離し隔たるため天下が安らかでないからです。内卦は陰柔、外卦は陽剛であり、内部は柔弱で外部は剛猛、小人が内にいて君子が外にいます。小人の勢いは次第に伸長し、君子の道は次第に消えていくのです。
象传
《象》曰:天地不交,否。君子以俭德辟难,不可荣以禄。拔茅貞吉,志在君也。大人否亨,不乱群也。包羞,位不当也。有命无咎,志行也。大人之吉,位正当也。倾否先喜,天下治也。
意味: 天地の気が互いに交わらないのが否卦の象です。君子はこの象に倣い、倹約の徳行をもって危難を避け、栄華利禄を追求してはなりません。
茅を抜いて正道を守る吉祥は、心志がなお君主と正道に繋がっており、背いていないからです。
大人が閉塞を固守して亨通なのは、小人と同流合わず、自らの陣営を乱さないからです。
恥辱を包容して耐え忍ぶのは、居る地位が適当でなく、時運に恵まれないため、一時的に避けるしかないからです。
天命を奉じて災いがないのは、志が行われることができ、閉塞の勢いが転じ始めたからです。
大人の吉祥は、居る地位が中正で、剛健にして正道を守っているからです。
閉塞を覆して先に否(へい)あり後に喜びありなのは、天下が秩序を回復し、再び通泰に帰するからです。
よくある質問
否卦は主に吉か凶か?
答: 否卦は中平の卦です。前期は閉塞阻害、万事行き詰まりであれば凶ですが、正道を守って変化を待ち、否極泰来すれば吉となります。全体としては、先に否(へい)あり後に泰(たい)あり、苦しみが尽きれば甘きが来るという流れです。
否卦の「大往小来」とはどういう意味ですか?
答: 陽剛の正気が遠ざかり、陰柔の小人が権勢を振るうことを指します。多くを費やしても得るものが少ない、事業の消耗、時運の不遇を象徴し、閉塞困頓の核心的な現れです。
否卦はどのような場面に適していますか?
答: 忍耐して静寂を守り、災難を避けて身を守り、身を修め徳を養い、時機を待つといった阻害・停滞の類の場面に適しています。積極的に進取する、事業を拡大する、人と争うといった場面には適しません。
事業について否卦が出た場合、どのような示唆がありますか?
答: 事業について否卦が出た場合、主に阻害困頓、上下不通を示します。忍耐して正道を守り、徳を倹(つつ)しんで災難を避け、軽率に進んではなりません。九五爻は閉塞を止めて吉祥に向かい、上九爻は否極泰来を示します。静かに時勢の変化を待てば、事業は順調に転じます。
否卦と泰卦にはどのような関係がありますか?
答: 泰卦は地天が相合し、陰陽が交通して、通泰吉祥を主とします。否卦は天地が背き合い、陰陽が隔絶して、閉塞困頓を主とします。両者は互いに綜卦の関係にあり、物極まれば必ず反る、泰極まれば否(へい)来たり、否(へい)極まりて泰(たい)に至るという弁証法的な法則を体現しています。